日時 | 2020.09.11 |
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Q:未成年の場合でも自己破産はできるのでしょうか?
A:自己破産は未成年者も行えます。
自己破産をするにあたっては未成年者でも可能です。
もっとも、未成年が自ら自己破産の申立を行うことは認められておらず(未成年が弁護士に依頼してその弁護士が代理人として破産申立を行うこともできません。)、
親などの法定代理人が申立をすることとなります。
未成年の自己破産の申立は、親などの法定代理人が行うものなので、弁護士は親(両親が離婚していない場合は父母の両名からの委任となります。)などの法定代理人から委任を受け、
その代理人として破産手続きを行います。
では、未成年(学生)が自己破産した場合はどうなるかについてご説明します。
①親戚、友人、学校、職場などに知られることはありません。
自己破産をしたこと自体は官報に載りますが、しかし、実際に官報を見ている人は殆どいませんので、
官報を情報源として自己破産をしたことが知られる、ということはまず無いでしょう。
当該職場から借入などをしており債権者に当たるときはその会社が債権者となるので、
職場に知られるということはあるでしょう(自己破産をしたことを理由に解雇されることは基本的にあり得ません。)。
しかし、それ以外の場合は、自ら話をしたりしない限り、学校や友人に自己破産のことが知れることはないでしょう(仮に学校が知ったとしても何らかの処分をすることも出来ません。)。
尚、2019年3月にインターネット上に『破産者マップ』というものが現れ、官報に載った破産者の情報を載せる、というウエブサイトが現れ、
一時問題となりましたが現在は閉鎖されています。
②賃借の家を追い出されることはありません。
親が賃借人の場合は、当然に何の問題もないでしょう。
また、仮に、自己破産をした未成年が賃借人の場合については、家賃を支払っている限り、賃貸借を解除されることはありません。
賃貸借契約書などには、賃借人が破産したときには賃貸人は賃貸借契約を解除出来る、と記載されていることもよくありますが、
これは有効な規定とはなりませんので、結果的に、賃貸物件を追い出されることはありません。
③今後する就職や現在就職している会社に影響はありません。
今後就職活動するに当たり、履歴書に自己破産の有無を書く欄はありませんし、わざわざ自ら履歴書に書く必要も無いでしょう。
今後の就職活動に影響することはまずないでしょう。
ただし、かつて自己破産したときの債権者であった金融機関に就職しようとしている場合、自己破産しているかどうかを調べられる可能性は一応あります。
④信用情報機関にのります。
未成年の場合に限らず、自己破産をしたときは、その債権者である金融機関が以下の様な信用情報機関に情報を提供することから、その旨が記録されることとなります。
信用情報機関(ブラックリスト)には、株式会社日本信用情報機構(JICC)、株式会社シー・アイ・シー(CIC)、全国銀行個人信用情報センター(KSC)などがあります。
各機関により登録の年数は異なりますが、概ね5年間、kscにおいては最長10年間、のることになります。
その期間は、クレジットカードを作ることや、新たな借入をすることは難しくなります。
⑤高価な財産は処分される可能性があります。
未成年の場合に限らず、自己破産を行うと、東京地裁の場合には時価20万円を超えるか否かの基準の下、時価20万円を超えるような高価な財産は処分されてしまいますが、
そうでないものは処分されないでしょう。
通常、家具家財などの生活必需品などの財産は処分されることはないでしょう。
時価20万円を超える程度の高級なテレビなども現実に処分されることはあまり無いでしょう(売ると数十万円にもなり得る腕時計などは処分されることもあり得るでしょう。)。
しかし、自己破産は未成年でもできると述べましたが、年齢に関係なく、免責不許可事由(浪費や賭博、特定の債権者への弁済、財産の隠匿など、 破産法252条に列挙されています。)に該当する場合は、自己破産をすること自体は出来ますが、借金を帳消しにすること(免責手続と言います。)は出来ないので注意が必要です。