日時 | 2017.10.04 |
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A.自由財産(破産者が破産手続開始後に新たに取得した新得財産や差押禁止財産等)以外の財産は、原則として全て換価対象となります。
ただし、個人の破産の場合には、破産者の生存権の保障、現金について99万円まで自由財産とされていることとの均衡、同時廃止事件との均衡及び管財業務の効率化という観点から、東京地裁破産再生部では、東京にある各弁護士会との協議に基づき、下記の換価基準を定めています。
【個人破産の換価基準】
1 換価等をしない財産
(1) 個人である破産者が有する次の①から⑩までの財産については、原則として、破産手続きにおける換価又は取立て(以下「換価等」という。)をしない。
①99万円に満つるまでの現金
②残高が20万円以下の預貯金
③見込額が20万円以下の生命保険解約返戻金
④処分見込価額が20万円以下の自動車
⑤居住用家屋の敷金債権
⑥電話加入権
⑦支給見込額の8分の1相当額が20万円以下である退職金債権
⑧支給見込額の8分の1相当額が20万円を超える退職金債権の8分の7
⑨家財道具
⑩差し押さえを禁止されている動産又は債権
(2) 上記(1)により換価等をしない場合は、その範囲内で自由財産の範囲の拡張の裁判があったものとして取り扱う(ただし、①、⑨のうち生活に欠くことのできない家財道具及び⑩は、破産法34条3項所定の自由財産である。)。
2 換価等をする財産
(1)破産者が上記①から⑩までに規定する財産以外の財産を有する場合、当該財産については、換価等を行う。
ただし、破産管財人の意見を聴いて相当と認めるときは、換価等をしないものとすることができる。
(2)上記(1)ただし書により換価等をしない場合には、その範囲内で自由財産の範囲の拡張の裁判があったものとして取り扱う。
3 換価等により得られた金銭の債務者への返還
(1)換価等により得られた金銭の額及び上記1(1)の①から⑦までの財産(⑦の財産の場合は退職金の8分の1)のうち換価等をしなかったものの価額の合計額が99万円以下である場合で、破産管財人の意見を聴いて相当と認めるときは、当該換価等により得られた金銭から破産管財人報酬及び換価費用を控除した額の全部又は一部を破産者に 返還させることができる。
(2)上記(1)により破産者に返還された金銭に係る財産については、自由財産の範囲の拡張の裁判があったものとして取り扱う。
4 この基準によることが不相当な事案への対処
この基準によることが不相当と考えられる事案は、破産管財人の意見を聴いた上、この基準と異なった取扱いをするものとする。
以上が東京地裁の設けている基準ですが、特に2から4に定めている例外に当たる可能性があるか等は、個別の事情を見て判断する必要があります。
ご不明な点がございましたら、お気軽にお問い合わせください。