法律上は不可能ではありませんが、場合によっては、審査に通らない可能性が考えられます。
奨学金申請自体は子供名義で出来るため、親が過去に自己破産しているかどうかは、それほどは関係ありません。ただ、貸与型の奨学金等であれば、「借金」の一種であることに変わりません。
そのため、多くの貸与型の奨学金制度では、借りる際に連帯保証人の設定等が必要になります。
特に連帯保証人は、主債務者である子供が奨学金を返せない場合、催告の抗弁 (債権者が保証人に債務の履行を請求したときは、保証人は、まず主たる債務者に催告をすべき旨を請求することができる[民法第452条])や、検索の抗弁 (債権者から請求を受けた保証人が、まず主たる債務者の財産に対して執行せよと抗弁して、請求を拒絶すること[民法第453条])の権利がなく、代わりに返済しなければならない義務が生じます。
このように、連帯保証人等は、万一の際に主債務者に代わって返済をすることになるため、連帯保証人の候補者に資力や信用がない場合には、連帯保証人となることを断られるケースもあります。自己破産をすると連帯保証人になれない旨の法規制はないため、理屈上は連帯保証人になることは不可能ではありませんが、一般的には、自己破産をした事実は、支払い能力等に不安を与える事情にはなりますので、自己破産歴が明らかとなれば、連帯保証人等になることを断られることが予想されます。
特に、自己破産してから数年の間は、自己破産をした事実が事故情報として信用情報機関に記録されているため、自己破産の事実が判明して連帯保証人等になることを断られる可能性があると考えられます。
なお、自己破産をした者が親の一方だけであり、かつ、もう一方の親に安定した収入がある場合には、自己破産をしていない親には信用があると判断され、連帯保証人となることが了承されることも考えられます。もっとも、自己破産をしていない親が、専業主婦等で収入がない場合は、夫の収入や過去の履歴も審査される可能性があるため、審査が通るかはケースバイケースとなります。保証人に関して、上述のように連帯保証人を立てることが難しい場合もあるため、有料で連帯保証する保証機関というものがあり、こうした制度を利用して申請をすることも考えられます。
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