準自己破産という手段を用いれば、会社内で決定ができなくても、破産はできます。
会社を破産させる場合、通常、会社自体が自己破産の申立てをすることになりますので、取締役会がある会社の場合には取締役会決議、また、取締役会のない会社の場合には取締役の過半数での決定を経たうえで、代表者を通じて破産の申立てをする必要があります。
もっとも、取締役間に対立がある場合や、名目的な取締役がいたものの、今や連絡がつかなくなっている場合、または、代表者が会社存続にこだわり、破産することを拒んでいる場合など、上述のプロセスを経ることが難しい会社も、少なからず存在します。
こうした会社でも破産ができるようにするため、前述の自己破産のほか、各取締役は、取締役会等の決議を経ずに、取締役としての地位に基づいて会社の破産を申し立てられることになっており、この方法を準自己破産といいます(破産法19条1項2号)。また、一般社団法人等の理事や合同会社等の業務執行社員も同様に、準自己破産を用いることができます(破産法19条1項1号、3号)。
この方法であれば、上述のような場合でも、決議を経ずに会社を破産させられます。
ただし、準自己破産の場合、取締役等による不必要な破産の申立てを防ぐため、通常の自己破産の場合とは異なり、破産手続開始の原因となる事実を疎明しなければなりませんので、ご注意ください(破産法19条3項)。
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