A.ほかの家族までもが破産しなければならないわけではありません。
家族が破産するからといって、他の家族までもが破産しなければならないわけではありません。
実際にも、経営者である夫が破産しても、妻子は破産手続をしない例はいくらでもあります。確かに、将来、子供の保証人が必要になる場合も考えれば、夫婦そろって破産してしまうことは避けたいところです。破産手続が終了して夫が免責を受ければ、その後に夫が働いて稼いだお金は自由に処分することができます。夫は破産しても妻は破産せず、妻の借金については返済スケジュールの交渉をする等の任意整理手続を選択する方法も考えられます。夫と妻それぞれの保証債務も含めた負債の状況等を踏まえて慎重に手続選択をする必要があるでしょう。
もっとも、夫婦で会社を経営しているような場合には、会社の負債について夫だけでなく妻も連帯保証しているようなケースもあります。このようなケースでは会社が破産すれば夫とともに妻も破産せざるを得なくなるということはあるでしょう。
ただ、名義上は妻の借金となっていても、妻が借り入れた金銭を夫が消費して、債権者もそのつもりで貸していたような場合には、実質的に見ると、それは 夫の借金です。そのようなケースでは、妻の債務ではなく夫の債務として扱われる可能性も否定できません。また、初めから破産するつもりで、夫名義で借金していて、そのお金を妻の名義で貯めておくという悪質なケースは、夫による財産の隠避として破産による免責が得られないこともあり、最悪の場合には詐欺破産罪という犯罪にあたる可能性すらあります。