A.破産手続開始決定後、破産者は裁判所の許可なくその居住地を離れることができません(破産法37条1項)。
「居住地を離れる」というのは、引越しだけでなく、2泊以上の宿泊を伴う旅行や、海外旅行がこれに該当するとされています。 もっとも、仕事の出張などの必要性がある場合や、実家への帰省など、管財人の業務に影響を及ぼさない場合は、管財人は通常居住地を離れることに同意することもあります。破産者は破産管財人に必要事項を説明する義務、財産を開示する義務を負います。住居地の制限は、破産者の住居が変更となることで破産管財業務に支障を来すことを防ぐのがその趣旨です。このような趣旨から、東京地裁では、管財人の同意を得た上で、裁判所へ居住地を離れる旨を報告する運用です。
居住地の制限は、当然未来永劫というものではなく、裁判所の許可が必要なのは破産手続開始決定から破産手続が終了するまでの間です。